Status 火力発電のいま

私たちは、火力発電を通じて日本の社会・経済を支えています。
特に、世界中に広く分布し、長期保管も可能な石炭を利用することで、
日本のエネルギー安全保障や電カレジリエンスに寄与しています。

同時に、CO2排出量低減のための技術開発を積み重ねてきました。
これらの技術を礎にJ-POWERグループは水素を製造し、
2050年のカーボンニュートラルに向けて、水素社会の実現に貢献していきます。

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CO2排出実質ゼロを目指した
火カエネルギーと
水素への取り組み

竹原火力発電所新1号機

高い発電効率とバイオマス利用

J-POWERグループの火力発電は高い発電効率を維持することで、燃料使用量を抑え発電電力量あたりのCO2排出量削減を実現しています。

2020年6月に運転を開始した竹原火力発電所新1号機(広島県)では、最新設備の導入により世界最高水準の発電効率約48% を達成し、CO2排出量を更新前と比較し約20%削減しています。

また、木質ペレットや下水汚泥燃料等のバイオマス燃料を混焼し、さらなるCO2排出削減を図っています。
竹原火力新1号機ではバイオマス燃料を約10%混焼利用するなど、今後もバイオマス混焼発電の拡大を進めていきます。

※発電端効率(LHV:低位発熱量基準)

「CO2フリー水素」の製造技術

J-POWERグループは20年近く研究を続けてきた石炭ガス化技術と、発生するCO2の分離・回収技術を組み合わせることで、水素を製造します。

2008年には既に若松研究所(福岡県)のEAGLEプロジェクトで、石炭からの水素ガス製造を実証しており、大型化・商用化に向けた技術開発を続けてきました。

さらに、回収したCO2を大気へ放出せずに、貯留·有効利用をすることで「CO2フリー水素」を実現します。
CO2フリー水素の製造・発電利用、多様な用途への供給を通じて、カーボンニュートラルと水素社会の実現に貢献していきます。

※2002年~2013年に実施された石炭利用高効率発電技術開発プロジェクト。
石炭をガス化してガス夕ービンと蒸気タービンで同時に発電するIGCC(石炭ガス化複合発電)や、CO2分離・回収技術、
燃料電池と組み合わせるIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)の研究を行っている。

OUR ROLE 私たちが担う役割

大崎クールジェンプロジェクト

Project01

広島県ではNEDO※1の助成事業として、中国電力(株)と共同で、「大崎クールジェンプロジェクト」を進めています。

ここでは、酸素吹IGCCの実証試験を実施し、同規模の実証プラントとしては世界最高水準となる発電効率を達成しています。
この「酸素吹IGCC」は、効率的にCO2を分離・回収できるという特徴があり、CO2排出ゼロ実現への貢献が期待できます。

さらに、CO2を分離すると可燃性ガスは「水素」が主成分となります。大崎クールジェンプロジェクトでは、水素を利用した燃料電池を組み合わせた「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC※2)」についても実証試験に着手しています。

※1 NEDO:
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
※2 IGFC:
Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle

CO2を有効活用し、リサイクル

発電時に発生するCO2そのものを回収し、地中へ貯留する技術(CO2回収・貯留技術:CCS )や資源として有効活用(カーボンリサイクル)することで、「CO2のゼロエミッション」を目指しています。CCS技術は、発電時に発生したCO2を回収し地中深くに貯留・圧入する方法です。
J-POWERグループは、日本CCS調査(株)が実施する北海道苫小牧での大規模な実証試験に参画し、CO2の圧入試験、操業・モニタリング等を通じてCCSの安全性を確認しています。
また、コスト削減を図るために、より浅い地盤にCO2を貯留する技術開発も進めております。

※ Carbon Capture & Storage

CO2地中貯留の仕組み

さらに、CO2は「炭素」資源として有効に活用することが可能です。現在でも、CO2は炭酸飲料などの食料品やドライアイスなど、広く利用されています。
大崎クールジェンでは、CO2分離・回収設備を用いて回収したCO2の有効利用技術の検討に着手しており、植物育成増進やバイオ燃料の生産、コンクリート等の建材としての利用などを想定しています。

GENESIS松島計画

Project02

ガス化設備を付加して
CO2排出量を減らすとともに、
水素発電につなげる

大崎クールジェンプロジェクトで実証した成果の商用化を目指し、松島火力発電所(長崎県)でスタートしたのが「GENESIS※1松島計画」です。
また、実証済みのCO2分離・回収技術※2を適用可能なシステム構成となっており、既存の設備・インフラ施設を活用しながら新技術を適用・拡張していくことで、電力安定供給を維持しつつ、経済的かつ早期にCO2を削減してカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させていきます。

※1 J-POWER GENESIS Vision
将来的なCO2フリー水素発電を視野に入れたカーボンニュートラル実現に向けた取り組み(商標登録出願済)
※2 2016~2022年度で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、
中国電力株式会社と共同で実施している大崎クールジェンプロジェクト

水素社会の実現に向けて

褐炭ガス化 ・水素精製設備(J-POWER Latrobe Valley/HySTRA)

地球環境問題と
エネルギーの安定供給の両立

J-POWERグループは、豪州で褐炭をガス化※1して水素を製造※2し、日本に輸入するという、世界で初めてとなる国際的な液化水素サプライチェーン檻築実証試験に参画し、2022年、本試験を無事完遂しました。
また、今後さらにCO2の回収・貯留(CCS)を組み合わせたクリーン水素製造の事業化に向けた検討を進めており、世界初の商用規模水素サプライチェーンの構築を目指しています。

※1 NEDO助成事業 ※2 豪州連邦政府・ビクトリア州政府補助事業
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